沖縄よろずで、ご相談されたお客様の「経営課題」の支援事例などです。
毎週日曜日「沖縄タイムス」紙の経済面に連載中です!
◆ 企業名 株式会社ジル・インターナショナル
◆ 業 種 かばん製造業
◆ 所在地 読谷村
◆ 資本金 100 万円
◆ 創 業 2016年
◆ 従業員 非公表
【相談】
つる植物のクージ(トウツルモドキ)を編んだカゴバッグを製造しているが、原料を供給していた方が体調を崩し提供が不可能となった。原材料調達のための良い方法、アイデアはないか?
【回答】
相談者の高野眞由美さんは、日本が世界に誇れる沖縄の伝統工芸の「クージ」(トウツルモドキ)を原材料にした籠のカゴバッグ(ル・コーゲイ)を、読谷村座喜味のガラス工房内にある加工所で製造・販売している。ル・コーゲイのバッグは琉球の伝統技とモダンな感性が融合したおしゃれな商品だ。
だが、これまで原材料であるトウツルモドキを供給していただいていた方が体調を悪くして、高野さんはトウツルモドキが入手困難になり困っていた。今後トウツルモドキを安定的に入手するためにどのような仕組みを作っていけばいいのか、仕組み作りのアイデアがほしいとのことで相談に来られた。
素材となる植物トウツルモドキを初めて知った私は、そもそも沖縄のどこに原材料があって、どのように加工していたのかなど、いろいろと伺い調査を行った。その結果、まずは原材料調達のための高野さんが求める要件が相手に伝わる資料が必要だと判断した。また、原材料調達のための情報収集先には、やんばる地域の行政や公民館を選定した。
原材料調達の協力者の賛同がいただけるよう、収穫加工者向けへの説明などをわかりやすくした資料やチラシの作成を提案した。
資料やチラシ作成へのアドバイスも行い、高野さんは作成した資料やチラシを持ってやんばる北部の公民館にも足を運ばれた。その結果、連携の可能性も出てきたようだ。また新たな販路としてふるさと納税返礼品への提案も行った。現在、ふるさと納税への登録準備をほぼ終えて、掲載されるとの報告もあった。
今後も沖縄の有用植物を活用して、原料調達による地域社会との連携と協働から加工、販売まで持続可能な仕組み作りの確立へまい進していただくための応援を続けたい。
問い合わせはル・コーゲイ高野眞由美、電話090(2323)9295
(県よろず支援拠点コーディネーター・渡具知豊)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12967000.html
◆ 企業名 株式会社フコイダン沖縄
◆ 業 種 サプリメント企画販売
◆ 所在地 那覇市
◆ 資本金 200万円
◆ 創 業 2000年
◆ 従業員 2人
【相談】
沖縄もずく由来のフコイダンを使った「沖縄のフコイダン100」をテレビコマーシャルで認知度を上げて販売したい。初めてなので広告代理店から提案はあるが是非を判断できない。制作過程と放送時間の決め方を知りたい。
【回答】
中小企業・小規模事業者が大半を占める沖縄では、商品をテレビCMで告知し売り上げにつなげる企業はそう多くはない。
CMは制作費と放映料が必要で、テレビ局に搬入できる資格を持つ広告代理店に依頼し、その表現と放映料に折り合いがつけば問題はない。相談者の儀間正行社長は「商品に詳しいのは自分なので、まかせっきりにはできない」との思いが強く、制作のプロセスを理解しながら今後のノウハウにしていきたいとのことだった。
商品名は「沖縄のフコイダン100」。沖縄もずく由来のフコイダンをベースにアガリクス、メシマコブ、霊芝の菌糸体を入れ、液体化したもの。試飲サンプルとして100ミリリットルを用意し無料配布するという内容だ。
テレビCMは15秒タイプがほとんどで、字幕と言われる文字情報と、読み手のナレーションに分けて整理する。15秒を何枚の画像に分けるかを、商品や文字を配置しながらアドバイスした。口頭では分かりにくいので絵コンテをラフスケッチで伝えた。ここまでは相談者の理解は早かった。
最も儀間さんを悩ませていたのはタレントさんからの動画撮影の提案があり、そのギャラに対する費用対効果の迷いだった。1年間が使用期間であることと価格は相場価格だったので、タレントの認知度やイメージ、商品のターゲットに対する説得性を考え広告効果を期待していいと伝えた。
CMには番組、時間帯、放映に3パターンがある。3~5月に放送された。6月はテレビ局を変えて放送する。注文は徐々に増え、個人だけではなく代理店を希望する会社からの問い合わせもあり、取引は既に始まっている。
商品開発は認知度を上げるプロモーションまで含まれる。その選択肢の一つを手に入れたと考えていい。
問い合わせは、株式会社フコイダン沖縄、電話(0120)554982。
(県よろず支援拠点コーディネーター・嘉数純)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会等支援機関へお問い合わせください。
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◆ 企業名 株式会社海と空と育むラボ
◆ 業 種 教育事業
◆ 所在地 那覇市
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 2025年
◆ 従業員 非公表
【相談】
日々忙しい教職員の持つ「先生力」にフォーカスして「teachers“可能性”summit」という参加型イベントを沖縄と全国で開催したい。内容や費用について相談したい。
【回答】
元教員で個人事業主を経て、2025年、株式会社海と空と育むラボを設立した新垣忍さん=写真。20年の教員生活の後、学校向けの人材育成プログラム提供と沖縄へ修学旅行に来る学生向けに学習支援を行ってきた。同年7月オープンのジャングリアでの団体旅行プログラムの企画にも携わった。
昨今、教育を取り巻く環境が大きく変化する中、現場で奮闘する教員の持つ「先生力」に光を当て、その輝きの社会への発信を目的としたイベントを開催したいと相談に来られた。
「先生力」とは、教員が持つ専門性や個性、子どもたちへの熱い情熱のことだという。イベントは参加型で、日々の実践やアイデア、教育ツールの活用方法等を互いに持ち寄り、情報共有や相互理解の場とし、沖縄を皮切りに全国で開催する。通常は、イベント参加費で収益を得られるが、参加費は無料にしたいという意向から開催にかかる資金繰りが課題と判断した。
イベント開催費用を新垣さんが自社で負担するにはかなり無理があり、複数回の開催は資金的に厳しい。そのため、クラウドファンディング(CF)や協賛金という形で資金を集める方法を提案。教育関連や未来の子どもたちの成長のためということであれば、共感を得やすいからだ。
しかし、クラウドファンディングや協賛金を集めるためには、そのための知識と労力が必要になり、簡単なことではないことも説明した。新垣さん自身も情報収集した結果、6月末からクラウドファンディングを開始し、さらに協賛金を集めるための準備を始めた。イベントは8月6日午後2時から、なは市民活動支援センターで開催する予定。
よろずでは、引き続きクラウドファンディングのためのサポートや今後の事業展開も応援していきたい。
問い合わせは株式会社海と空と育むラボ、電話090(6856)0306
(県よろず支援拠点コーディネーター・小松崎愛)
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◆ 企業名 A社
◆ 業 種 非公表
◆ 所在地 非公表
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 1984年
◆ 従業員 非公表
【相談】
創業40年、ここ最近は既存事業が振るわず赤字が続いていることから新事業に挑戦したい。併せて事業承継の準備も進めたい。
【回答】
創業40年の同族会社の後継ぎである相談者は30代。ライバルが多く、先代が作り上げてきた既存事業だけでは売り上げの確保が厳しく赤字が続いている。こうした状況を打開すべく新事業を立ち上げ、経営改善に取り組みたいと考えている。併せて、親族が保有する株式の承継についても進めていきたいとの意向があり、相談に訪れた。
地元客をターゲットとした既存事業は、業界的にすでに飽和状態にあることから、今後しばらく成長が期待されるインバウンド(訪日客)をターゲットとした新事業で利益を確保し、経営の改善を進めていきたいとのことだった。
若い感性が存分に発揮できる事業内容だが、金融機関からの融資を希望していたため、利益だけでなく返済財源も確保できるような収支計画や実現可能性の高い事業計画の策定が重要である旨、助言した。
持参された決算書の内容を一緒に確認したところ、売り上げ規模に対して人件費割合が高く、その多くが親族への支払いであることが判明。黒字化への取り組みとして経費構造の見直しも必要になる可能性が高いことが分かった。
株式の承継については、直近3期赤字が続き債務超過状態であったため、一般的に株式を移動するタイミングとしては好機と考えられる状況だった。そのため、株式評価や移転スケジュールについて早めに税理士へ相談するよう助言した。
相談者のように、社歴が長く社内で一定の価値観が根付いている会社の若い後継者は、周囲の期待や重圧を受けつつ、将来を見据えながらかじ取りを求められる立場にある。今回のように経営改善と事業承継を並行して進めるケースは今後ますます増えていくことが想定され、早期の準備と専門家の支援の活用が、円滑な承継と経営の安定に向けた重要な鍵となる。
よろずにはさまざまな分野のコーディネーターが在籍しており、多角的な相談対応が可能である。事業承継にまつわる課題の整理に悩んだら気軽に相談に来てほしい。
(県よろず支援拠点コーディネーター・友寄亜由子)
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◆ 企業名 株式会社プログレス31
◆ 業 種 運送業
◆ 所在地 西原町
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 2003年
◆ 従業員 14名
【相談】
運送業を主体に、機会があれば新規事業に取り組み、社員にも恵まれて業績を伸ばしてきた。新たに高齢者向け引っ越しサービスを始めるに当たって、分かりやすい事業方針を作り、社員とも共有して進めていきたい。
【回答】
株式会社プログレス31は運送業を中心にコンテナ事業、野菜の卸売りなどの複数事業を展開し、取引先からの信頼も厚い。相談者の金城隆子代表は社会課題の解決にも熱心で、2023年に県外事例をきっかけに新事業として高齢者向けの引っ越し・片付けサービスを手がけることにした。
これまで「まずはやってみる」という姿勢で社員とともに各事業に取り組んできたが、事業が増える中、これを機に事業方針を定めより良い会社にしていきたいと考え相談に訪れた。
話をうかがい提案したのは3点。まず自社の強みの棚卸しと補完である。同社は依頼主の事情を徹底的に考慮し、先義後利で調整を行うという。実は同社が当たり前とする対応の中に、多くの強みや差別化要素を持つことが見てとれた。これらを社内で洗い出し事業の差別化要素を見える化した上で、新事業に特化した強みを補完し、方針を定めることを勧めた。
金城代表は自社の強みを「依頼主にとことん寄り添う姿勢」ととらえ、役員とともに介護ヘルパーと整理収納アドバイザーの資格を取得。古物商許可も受け、高齢者や家族に寄り添う「ヘルパーのいる引っ越し屋」という新しいサービスを作り上げた。
他2点の提案は、企業全体としての方向性を言語化することと、これを繰り返し社員と共有し、全員が自分ごとととらえて行動できるようにすることである。
言語化は現在取り組み中であるが、社員間での共有の形が先にできつつあるという。社員の積極性も出てきており、金城代表は「社員が仕事に誇りを持ってくれている」と喜ぶ。
新事業は「うちなぁ~住むーぶ31」として開始。介護施設や行政機関からの問い合わせも増える等実績を積んでいる。引き続き支援していきたい。
問い合わせは、プログレス31、電話098(882)8570。
(県よろず支援拠点コーディネーター・山城あゆみ)
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本年度の「おきなわ中小企業経営支援連携会議」が23日、那覇市の八潮荘で開催された。県経済は拡大基調が続く一方、物価高や人件費高騰によって中小の建設業やサービス業を中心に経営環境が厳しくなり、業況が「二極化」している状況が報告された。
返済が滞った融資を県信用保証協会が肩代わり返済する代位弁済の発生率は、業歴10年以内、従業員数50人以下の企業で高く、きめ細かな経営支援で連携することを確認した。
県信用保証協会の謝花喜一郎会長が議長を務めた。協会のまとめによると。2024年度の保証債務残高に占める代位弁済率は全体で22.56%。業歴10年超は1.51%だったのに対し、1年以内が3.51%、3年以内が4.15%、5年以内が4.74%など、業歴が浅い事業者で高かった。
会議では金融機関などの関係者が、顧客の財務状況が悪化する前に経営改善計画の策定など早めの支援を強化している状況を報告した。
県よろず支援拠点の金城力サブチーフコーディネーターは「実行計画を作った後に事業者がしっかり実行することが大事だ。伴走支援もできるのでつないでほしい」と話すなど、機関同士の連携も呼びかけた。(島袋良太)
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12950261.html
◆ 企業名 株式会社トリプルエイト宮古島
◆ 業 種 畜産、飲食店
◆ 所在地 宮古島市
◆ 資本金 100万円
◆ 創 業 2023年4月
◆ 従業員 2人
【相談】
黒毛和牛を繁殖から飼育、販売まで一貫して行っている。物価高の影響により安価な鶏肉や豚肉へと消費の流れが変化しており和牛肉の価格は上昇しにくい状況。商標を活用して販売促進につなげられるか、相談したい。
【回答】
宮國範夫氏の牛舎がある宮古島市上野地区(旧上野村)は、1873年にドイツ商船の乗組員を住民が救助したことから「博愛の里」として知られている。2000年の九州・沖縄サミット時には、当時のドイツ首相シュレーダー氏がこの地を訪れた。宮古空港から文化村へ続く道が「シュレーダー通り」と名付けられるなど、「博愛の里」としての歴史が大切に受け継がれている。
宮國氏は定年退職後、地域資源を生かした食料生産や環境保全を目指して「はくあい牛」を育て、商標取得で品質基準を設けた上で、地域の方に登録商標を活用してもらいたいと考えていた。
「はくあい牛」は宮古島で肥育されている黒毛和牛で、出産経験のある雌牛を約6カ月かけて丁寧に育てることで肉質を向上させ、柔らかく食べ応えのある肉に仕上げたものである。
宮國氏からは商標取得までのプロセスや費用についての相談があり、よろず支援拠点と連携先のINPIT沖縄の担当者から詳しい説明を受け、申請手続きを進めた。しかし特許庁から登録拒絶通知が届き、一時は登録が危ぶまれた。再度INPIT沖縄の助言を得て、拒絶理由を回避し「はくあい牛」として商標登録を行うことができた。
その後、取得した商標の活用についての助言を求められ、商品に「(R)(登録商標)」マークを付けることで権利を明確に主張できること、ロゴや商品パッケージ、ウェブサイトなどに積極的に使用することで認知度を向上させられることなどを伝えた。
商標取得はあくまでスタートである。今後は「はくあい牛」のブランド価値を高め、売り上げの向上を図るために戦略的なブランディングが必要で、引き続き寄り添っていきたい。
問い合わせは株式会社トリプルエイト宮古島、電話090(7588)8889(県よろず支援拠点コーディネーター・砂川淳一)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会等支援機関へお問い合わせください。
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12949119.html
【回答】
「SUNSUN1号館」は、北谷町にある児童発達支援・放課後等デイサービス・多機能型事業所などを提供する施設である。一昨年、代表の玉那覇聡さんは理想の支援を形にすべく準備を進めていたが、必要な人員の確保ができずにコザ信用金庫の創業融資担当者と一緒に初めて相談に訪れた。
求人募集の状況を確認したところ、ネットとリアルでの求人募集をひもづける工夫が必要と思われた。グーグルビジネスプロフィールが有効であることを説明し、活用を提案。基本設定から始め運用したところ、必要な人材を確保できた。
一方、利用者増加に伴い従業員のマネジメントの課題も発生。従業員に玉那覇さんの事業への思いを明確に伝え、共通認識化することが必要と提案した。よくある社訓や憲章を掲げるのではなく、従業員や利用者と密にコミュニケーションを重ね「理想の支援の形」を共有することができた。
運転資金については、新設の事業所は認知度が低く利用者確保が難しいので、しばらくは経営も厳しい状態が続く。創業間もない場合の追加融資も厳しい。できるだけ支出を抑え、資金繰りをコントロールすることから手掛け、経営の安定化を図った。
利用者を増やすために事業所の情報発信だけでなく関係機関との連携も必要になる。特に福祉事業の場合、連携先である相談員や組織に対しての認知と信頼の構築は大切である。専門のコーディネーターから助言を受け、こまめに情報を発信した。
初回相談から1年半、事業所として黒字化を果たすことができた。玉那覇代表は今でも「利用者のためになるのか?」を合言葉に、従業員や利用者家族、関係機関と理想の支援を目指している。今後も応援していきたい。
問い合わせはSUNSUN1号館玉那覇、電話098(923)0894。
(県よろず支援拠点コーディネーター・赤嶺輝昌)
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◆ 企業名 県よろず支援拠点
◆ 業 種 経営相談窓口
◆ 所在地 那覇市
◆ 資本金 なし
◆ 創 業 2014年
◆ 相談員 30人
来県観光客の増加で好況な企業が増えた一方で、止まらない物価高騰や人手不足、人件費上昇で利益が残らない中小企業も多い。返済やコロナ期猶予されていた社会保険料の短期納入で経営環境は厳しい。
県民の雇用や所得を支える中小企業は県内企業の99.9%を占める。未曽有の大災害であるコロナ禍により、県の基幹産業である観光は大きな打撃を被った。ゼロゼロ融資などの借り入れでこの被害をしのぐしかなかった事実をまず確認しておきたい。
コロナ関連融資は借り入れである以上返済しなければならない。すでに返済は始まっている。また、コロナ禍期に猶予されていた3年分の社会保険料も1~2年で納付しなければならない。これらの返済原資は各事業者の利益から捻出する。
ところがコロナ禍後に事業者を襲ったのが、収益を上回る原材料費や燃料費の高騰、人手不足と人件費の値上がりなどである。当然返済原資が賄えない。
昨年の県内の企業倒産は54件、廃業・休業・解散は448件で過去最多を記録した。信用保証付きの返済が3カ月滞ると信用保証協会に金融機関から事故報告が上がる。その後も滞納が2~3カ月続くと代位弁済となり、銀行などには信用保証協会が弁済する。事業者は信用保証協会へ少額でも返済し続けなくてはならないだけでなく、いわゆるブラックリストに載り、新規の融資は受けられなくなる。昨年度の代位弁済件数は748件で過去最多であり、全国一の件数である。
代位弁済された事業者は8~9割が事業継続意欲をなくすと言われている。私たちは代位弁済された事業者が金融機関との通常取引を回復、新規事業資金も調達し業績を回復した実績がある。県内の支援機関や金融機関は連携して支援に当たる体制を持っている。事業継続意欲を持ち、自ら再起を目指す事業者を見捨てることはない。大切なことは、事業者が諦めずに身近な支援機関に相談することである。
(県よろず支援拠点チーフコーディネーター・上地哲)
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沖縄県内の景況判断は観光来県者数の増加で「好況」との判断が多い。一方、中小企業の休廃業・解散・破産・倒産は過去 10 年で最多を更新し続けている。借入返済が滞り、代位弁済された事業者数も過去 10 年で最高で全国一である。税収や雇用を支えてきた中小企業の減少は県経済と県民生活を衰退させる。
コロナ融資の返済が厳しい
県内企業(事業者)のうち中小企業が 99.9% を占め、雇用されている県民のうち約 9 割がそこで働いている。中小企業の 7 割以上は個人事業者を含む小規模事業者である。まさに県経済の屋台骨である。未曾有の世界的災害であるコロナ禍は、この屋台骨に大きなダメージを与えた。売り上げが止まった 3 年間の赤字を補填するため、ほぼ全ての事業者がゼロゼロ融資を含むコロナ関連融資を受け、何とか凌いできた。元金据え置き期間が終わり、返済が順次、始まっている。その数は 2023 年度をピークにのべ 3 万件弱とみられる。
倒産、休業・廃業、解散も過去最多
観光市場では観光客が戻り景況感も回復しているし、売上額も上がっている。しかし、物価高や人手不足、賃金の上昇、価格転嫁ができない等で利益は残らない。そんな中でコロナ関連融資の返済が始まった。コロナ関連融資は事業性融資ではなく、元々が赤字補填の借り入れだったこともあり、事業者の資金繰りはますます厳しさを増している。
東京商工リサーチによると、2024 年に県内で 1 千万円以上の負債を抱え倒産した事業者は 54 件、休業・廃業および解散は 448 件で過去最多である。これらの事業者の多くは借り入れの返済が行き詰まり、このような結果に至っていると推察できる。ゼロゼロ融資等を受けた事業者の返済が滞った場合、金融機関は代位弁済を実行し、県信用保証協会に保証してもらう。2024 年度の代位弁済件数は 12 月時点で前年度の倍以上の 546 件、過去 10 年で最多で、全国一の件数となっている。
事業継続、再建は可能
代位弁済された事業者のほとんどが事業継続意欲を失い、廃業や破産に進んでしまう。代位弁済されても約 1 割の事業者は、従業員の雇用や取引先との約束を守るために事業継続の意思があるという。返済を滞らせた責任があるから廃業や破産しても仕方がないという意見もあるが、意図的に滞納したのではない方がほとんどである。返済の滞納が発生する前に支援機関に資金繰りの相談をすることが一番良いが、滞納が起こってからでも遅くはない。早め早めの相談が事態の解決につながっていく。1 社でも多く、事業の持続・再生を進めていくことが、県経済にとって有益であることは言うまでもない。
連携して再生・再起を支援した事例
よろず支援拠点はその方々の力になりたいと思っている。多くの支援機関や金融機関も同じ思いを持っている。代位弁済されたが再建を果たした事例がある。
ある食品製造業者が赤字経営により、仕入先への買掛金の支払いが滞り、銀行からの借入金返済も延滞状態となった。このため、県信用保証協会へ代位弁済が請求された。経営危機の中、従業員も一体となり経営改善に着手し、ついに黒字化を達成した。生産現場を改善し、さらなる収益拡大を意図したが、新期融資を受けるには債務正常化(求償権消滅)という高いハードルを越えなければならない。経営者の事業継続の強い意志と、信用保証協会や金融機関等の連携した取り組みで、求償権消滅を果たし、金融機関の支援が実行され、再建が実現した。
必要なのは早め早めの相談
2024 年 11 月 2 日、政府は総合経済対策を閣議決定し、総理大臣をはじめ全閣僚連名で各自治体や支援機関や金融機関に通達した。その中で、借入金返済や資金繰りに困窮した中小企業に対し金融機関や支援機関が「早め早めの相談」を促すよう明記している。金融機関は代位弁済を選択する前に、よろず支援拠点をはじめ地元の支援機関への相談を積極的に勧めてほしい。
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12897218.html
「地域資源 x ブランディング」をテーマにした「つながる特許庁 in 宮古島」(主催・沖縄総合事務局、特許庁)が 26 日、市役所で行われた。宮古島や伊良部島の起業、支援機関の担当者らが参加し、地域資源の活性化やブランド戦略について認識を深めた。
同イベントは、知的財産の活用サポートの一環として、2021 年から全国各地で行われており、宮古島市では初開催。イベントの様子は YouTube でオンライン配信された。
イベントは 2 部構成で、第 1 部ではエコツーリズムの先駆者で開(ひらき)梨香氏(カルティベイト代表)とものづくり専門家の上地哲氏(県よろず支援拠点チーフコーディネーター)が地域資源を見つけるポイントをテーマに対談した。
上地氏は「まず足元を見ることが大切だ」とし「足元にある宮古島、伊良部島の宝を見つけ出して磨きをかけてほしい。地域や地元の人が掘り起こしてつくったものはそう簡単には消えない」と強調した。
「ポイントは情熱だ」とした開氏は「やる側、つくる側が真剣にやれば良いものができる。地元の知恵を使うことで思いもよらない評価が得られることがある。自分や地域が主人公で、いろいろな人の力を借りることで磨かれていく。その時に必要なものは知的財産を守ること。一度、一代で終わらない継続性をつくることが大切だ」と訴えた。
デザインイノベーションおきなわ代表理事の神里僚子氏は講演で、伊良部島の実践例を示し、みんなでつくる地域の魅力を語った。地元企業代表で蟹蔵の吉浜崇浩代表や浜口水産の濱口美由紀代表、宮古島の雪塩の平良雄一氏らがパネルディスカッションしたほか、第 2 部では日本弁理士会主催の交流会が行われた。
主催者あいさつで、特許庁の油科壮一審査第四部長は「参加された皆さんにブランドや商標、知的財産についてより身近に感じていただければ幸い」と述べた。
来賓の嘉数登市長は「県内で幅広く活躍する登壇者のセッションは参加者に有意義な情報提供となり、今後の戦略的な事業経営に応用できるものと期待している」と語った。
(令和 7 年 2 月 27 日 宮古毎日新聞 8 面掲載)
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12892581.html
中小企業や小規模事業者向け無料の経営相談所「よろず支援拠点」を、政府が全ての都道府県に設けて10年が経過した。売り上げ拡大や商品開発、人手不足といった相談対応は延べ300万件を超えた。中小企業診断士や弁護士らが経営者の課題解決に〝伴走〟する地道な取り組みが続く。
「専門家に付いてもらい、数字を見て考える大切さを知った」。宮崎市のバラ園「こどものくにガーデン」を管理するガーデナー、源香さん(49)は話す。よろず拠点の助言で挑戦したクラウドファンディング(CF)で目標額を上回る516万円を集め、看板作成や備品購入などに充てた。
バラ園は当時、運営会社から管理委託費が半減される事態に直面。よろず拠点の中小企業診断士、中城健太さん(36)は「CFは応援してくれる人が見える。金融機関の融資や自治体の補助金よりも『みんなでつくる』ことでドラマが生まれると思った」と振り返る。
経営相談を経て、温泉旅館からフォトスタジオに業態を切り替えたのが秋田県大仙市の「ドレスリゾートこわくび」。東日本大震災後に経営難に陥り、新型コロナウイルス禍が追い打ちとなった。日々の運転資金が必要な旅館業を終え、宿泊客向けサービスだったドレス撮影を専業にした。
今は千着超そろえたドレスを自由に着てもらい、撮影し放題のプランが人気だ。女性グループや家族連れのほか、コスプレやウエディング写真撮影目的の客も訪れる。
伊藤竜寛さん(65)、久子さん(59)夫妻はホームページや交流サイト(SNS)、館内の展示などについても助言を受けた。竜寛さんは「支援は心の支えで、自信を持たせてくれた。これからも2人で続けていきたい」と前向きに話す。
よろず支援拠点全国本部(中小企業基盤整備機構)によると、2014年度の設立から年々増えていた全国の相談件数はコロナ禍で急増。23年度は約43万件と前年度より18%減ったが、コロナ前の水準を上回った。
中小企業庁の担当者は「全ての答えをよろず拠点が出すのではなく、信頼関係を築きながら、経営者が課題を認識し自立していくのが理想的だ」と指摘する。
24年4~6月の相談対応は山梨や滋賀、徳島の3県は各約1300件にとどまり、都道府県ごとに件数のばらつきが大きい。中企庁は認知度向上に向け、中小企業と接点が多い金融機関などに紹介してもらえるよう働きかける方針だ。
令和 6 年 8 月 6 日 沖縄タイムス経済面掲載
こちらもご覧ください >> https://yorozu.ti-da.net/e12773689.html
県商工会連合会と県よろず支援拠点は21日、那覇市の県男女参画センターてぃるるで県地域支援機関連携フォーラムを開いた。原材料の高騰や人手不足が中小企業の経営を圧迫する中、支援機関が連携する重要性を共有した。
第1部は支援の事例が共有された。よろず支援拠点の金城力サブチーフコーディネーターは2013年創立の菓子製造販売業者の例を報告。委託を受けて他社ブランドの製品を製造するOEMが好調で4期連続の黒字となる一方、軌道に乗るまでに債務超過が膨らみ、機械化など新たな投資のための融資が難しく、支援の相談を受けた。
新たに融資をする銀行を探すため、中小企業活性化協議会に経営改善計画書の作成を依頼し、中小機構沖縄事務所は商品の品質管理のため専門家を派遣するなど、支援機関で連携したことを報告した。
活性化協議会の統括責任者補佐を務める弁護士の大島優樹氏も赤字経営だったサービス業の支援を報告しながら「事業再生や再チャレンジは早期に対応することでより選択肢が広がる。金融機関、商工会や商工会議所、専門家を含めて連携を深めたい」と話した。
第2部では各支援機関の関係者がパネルディスカッションでコロナ禍のゼロゼロ融資の返済が本格化する中での支援の重要性を話し合った。
(政経部・銘苅一哲)
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中小・小規模事業者の経営相談に対応する県よろず支援拠点による「地域支援機関連携フォーラム」が21日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。コロナ禍からの事業再生支援をテーマに専門家や弁護士、金融機関の関係者らが意見交換した。財務分析や事業承継の必要性、後継者育成、金融機関との交渉など、課題が多岐にわたることから、困難を抱える事業者への早期接触や関係機関の連携の必要性を確認した。
県よろず支援拠点の金城力氏は事例報告で、赤字体質だった菓子製造企業を承継した経営者が3期連続で黒字を上げたものの、設備投資目的の新規融資を受けられなかった事例を説明した。
承継前の累積赤字で債務超過となり、保証協会が金融機関に代位弁済していたことが理由。赤字店舗の閉鎖や経営改善計画を策定して金融機関と交渉し、代位弁済の求償権消滅と沖縄振興開発金融公庫から資本性劣後ローンの融資を受けたと対応を説明した。
県中小企業活性化協議会の統括責任補佐の大島優樹弁護士は、営業赤字が継続し、事業再生も厳しかった企業について、事業整理の影響を最小限にするために、事業承継を見付けた上で法人としては破産し、事業と雇用は別法人に引き継いだ事例を紹介した。「関係機関の連携がスムーズに進み、迅速で適切な支援へつながった。早期対応で選択肢が広がる」と強調した。
(島袋良太)
令和 6 年 6 月 25 日 琉球新報 経済面掲載
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◆ 企業名 沖縄県よろず支援拠点
◆ 業 種 経営相談窓口
◆ 所在地 那覇市
◆ 開 設 2014年
◆ 相談員 30人
2014年に中小企業庁が全国47都道府県に設置した「よろず支援拠点」は、減少を続ける中小企業、小規模事業者の持続、発展を目指して10年間あらゆる経営相談に対応するため走り続けてきた。その内容はこの紙面で毎週紹介させていただいた。
よろず支援拠点に与えられたミッションは3点。(1)専門性の高い経営アドバイス(2)課題解決のための総合調整(3)他の支援機関等に対する支援ノウハウの共有―などとなっている。つまり、さまざまな経営課題に悩む事業者の相談に対応し地域の支援機関や金融機関と連携して課題解決を図っていくことを目的としている。
これまで約3万5千の事業者から6万件以上の相談を受けてきた。相談者の満足度は平均93.3%で全国平均を上回っている。ここ数年は、首里城火災、豚熱や鳥インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など、社会的にも大きな被害により経営に影響を受けた中小企業・小規模事業者に寄り添い課題解決を支援してきた。
4年前から続くコロナ禍と、それに続いた物価の高騰は、約3万件以上実施されたコロナ関連融資の返済開始と重なり、県内中小企業に深刻な影を落としている。観光客が増加し売り上げが上がったとしても、原材料費や燃料費、人件費の値上がりで利益は減少している。返済原資が確保できていないのだ。昨年は休廃業や解散、倒産も史上最高件数を記録している。今年はさらに増加すると見られている。
一昨年6月に海邦総研が発表した「県内企業の新型コロナ関連融資の見通し」で「返済に懸念がある」と回答した企業は22.1%に上る。昨年から「返済ができない」など経営危機に直面し事業の存続に不安を持つ事業者が多く相談に訪れている。代位弁済の件数も、全金融機関で前期比149.2%、中には292.2%と急増している銀行もあり、金融機関には懸念のある事業者を相談に促してほしいとお願いしている。
もちろん、よろず支援拠点だけで事業者の経営危機を救えるわけではない。県信用保証協会、県中小企業活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センターなどの支援機関、地域の金融機関、国や県の中小企業支援施策と連携しながら、中小企業の消滅を1者でも多く防ぎたいと思っている。
(県よろず支援拠点チーフコーディネーター・上地哲)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。
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