沖縄よろず『支援事例』など

沖縄よろずで、ご相談されたお客様の「経営課題」の支援事例などです。

毎週日曜日「沖縄タイムス」紙の経済面に連載中です!

支援事例「訪問看護と保育事業始めたい」

開業資金に融資とCF


 ◆ 企業名 株式会社27

 ◆ 業 種 訪問看護事業

 ◆ 所在地 糸満市

 ◆ 資本金 非公表

 ◆ 創 業 2024年

 ◆ 従業員 非公表


【相談】

 27歳で難病ALSを発症。自分の将来のために看護師の同級生に相談し、一緒に訪問看護事業と保育事業の開業を予定している。開業準備のために何をしたらいいか相談したい。


【回答】

 看護師である佐川かんなさんと同級生の眞榮田純義さんは共同で訪問看護事業を開業予定である。きっかけは眞榮田さんが27歳で難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、同級生で看護師でもある佐川さんへ自身の将来について相談したことだ。

 難病ALSは全身の筋肉が動かなくなるため将来24時間の看護・介護が必要になる。家族への負担を軽減する事ができないかと佐川さんと相談し、自分で将来の環境を整えるべく訪問看護事業の立ち上げを決心した。当初は子ども好きな佐川さんの意向もあり、訪問看護事業とそこで働くスタッフのための保育所の開業も検討されていた。開業に向けた準備のためによろず支援拠点に相談に来られた。

 相談当初、佐川さんは出産前の妊婦さん、眞榮田さんはALSである。お二人が置かれた状況を踏まえ、訪問看護事業や保育事業の開業の手順だけでなく、経営に関する留意点と現状を時間をかけて説明した。それぞれの事業について市場調査や現状把握をした上で、本来やりたいことは何か、今何でスタートすべきなのか、考えてみることを提案した。 その結果、まずは訪問看護事業を眞榮田さんの地元糸満市で開業することが決まった。眞榮田さんと佐川さんの役割分担も考慮した法人設立をアドバイスし「株式会社27」を設立。開業資金の調達は、沖縄振興開発金融公庫への融資申請と併せてクラウドファンディング(CF)も提案した。既に眞榮田さんの講演会には数百名の来場者がある。会場での寄付やCFは効果的な資金調達方法である。その結果、希望通り糸満市内に事業所も決まり、6月7日よりREADYFORにてCFも開始された。まずは開業目指して引き続き支援を行っていく。

問い合わせは株式会社27、kngsk.62@gmail.com

(県よろず支援拠点コーディネーター・小松崎愛)


※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。


※オリジナルの新聞紙面は「CASE439」とありますが、正しくは「CASE484」(連載第484回)です。


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支援事例「グアバ シロップ製造したい」

加熱殺菌と色映え重要


 ◆ 企業名 株式会社フルーツマルシェ

 ◆ 業 種 製造業・飲食業

 ◆ 所在地 今帰仁村

 ◆ 資本金 900万円

 ◆ 創 業 2020年

 ◆ 従業員 5人


【相談】

 グアバは沖縄では「バンシルー(番石榴)」として古くから親しまれているが、全国的に周知するためマンゴーなど人気フルーツとセット販売する必要がある。グアバやマンゴーのフルーツシロップを作るための指導を受けたい。


【回答】

 相談者は今帰仁村で食品加工をはじめた山下美奈子さん。2017年にグアバと出会って以来、その魅力を伝えるために福岡で経営革新事業の認定を受け、沖縄と福岡を行き来しグアバ専門店を始めた。

 グアバは実も葉も健康に良いスーパーフルーツで海外では「フルーツの女王」とも呼ばれているが、沖縄では民家の庭先で目にする身近な果実。国内のグアバ加工商品のほとんどは輸入品に頼っているのを知り、今帰仁村の特産品として沖縄北部を盛り上げる産業にできないか考えられた。

 2020年に沖縄で「琉球guava entirely株式会社」を設立、翌年に県内アイスクリームメーカーでピンクグアバピューレが沖縄産原料として採用された。ピューレや葉はジェラートショップ、健康食品会社、ドリンクメーカーへの原料卸もスタートした。製品の安定供給が見込めるよう毎年1千本以上の苗を配布し、自身でも加工場を始めるため、社名を「株式会社フルーツマルシェ」に改め、県内の農作物原料を加工し、業務用や小売商品の開発を始めた。

 さらにグアバを知らしめるには既に有名なマンゴーやスイカなどと一緒に販売し、より多くの人の手に取ってもらえると考え、フルーツシロップの製造を計画。シロップ製造のアドバイスが欲しいと相談に来られた。シロップ製造は加熱殺菌の重要性を説明し、フルーツ自体のきれいな色が映えるパッケージをアドバイスした。安心、安全で天然素材にこだわったシロップがもうすぐ完成する。

 また今年の夏には、加工場に併設してジューススタンドを開く計画もある。そこでもグアバを中心にした沖縄のフルーツを多くの人に楽しんでもらえるよう、売り上げ拡大に向けての相談対応を続けている。

問い合わせは株式会社フルーツマルシェ、info@fruma.jp 電話080(3227)3753

(県よろず支援拠点コーディネーター・渡具知豊)


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支援事例「事業承継で留意すべきは何か」

自社の強みと弱み把握


 ◆ 企業名 C社

 ◆ 業 種 建設業

 ◆ 所在地 本島中部

 ◆ 資本金 非公表

 ◆ 創 業 非公表

 ◆ 従業員 20人


【相談】

 現在、当社の課長を務めている35歳の長男への事業承継を進めたい。長男の了承も得ており、株式や財産の分配についてはこれから顧問税理士と相談予定である。そのほか何に留意すればよいのかアドバイスがほしい。


【回答】

 65歳の相談者は5年後のリタイアを目標に後継者候補である長男への引き継ぎを計画中。事業承継のセミナーを受講し、情報収集を行っており承継に向けた早めの準備の必要性については認識している。

 事業承継と聞くと一般的に株や事業用資産の移転時に生じる相続税対策だと思われがちだが、実は相続税対策は事業承継の一部に過ぎない。国が実施したにアンケートによれば、現経営者が先代から事業を引き継いだ際に苦労した点について、「経営力の発揮」「取引先との関係維持」「一般従業員との関係の維持」との回答が上位にきている。このような問題点を考慮し、事業承継を行っていかなければならない。

 例えば技術力、ブランド、経営理念などは知的資産と呼ばれ数字には表れない目に見えにくい経営資源である。実は長年会社を支えてきた「競争力の源泉」はこのような目に見えにくい部分にあることが多い。そのため後継者が会社経営をしっかりとした形で引き継ぐためには、まずこの見えにくい資産を把握することが非常に重要である。

 いわゆる知的資産の棚卸し(見える化)と呼ばれるもので、自社の強みを抽出しつつ、弱みを知る作業である。この作業を行うに当たっては、現経営者と後継者が共同で取り組むことが大事である。なぜならその過程において「経営の承継」のみならず経営の磨き上げに必要な課題も共有できるからである。後継者は把握した自社の強みを継承し、弱みを補うための行動計画を立て、スケジューリングすることで、承継と合わせて業績の向上につなげる取り組みが可能となる。

 相談者にはこうした点を理解いただき、後継者となる長男と共に知的資産の棚卸し作業のサポートに入ることになった。C社の強みは長年の実績と取引先との信頼関係、現代表の持つ人的ネットワークと特殊な施工技術である。弱みとなるのは、人手不足、職人の高齢化、材料費の高騰などによる原価率の上昇である。

 今後は引き続き強みの承継と弱みの解消に向けて行動計画のサポートを行っていく。

(県よろず支援拠点コーディネーター・大城剛)


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支援事例「土産の新商品・命名で助言を」

伝統菓子も時代で変化


 ◆ 企業名 有限会社りゅうほう

 ◆ 業 種 食品製造販売業

 ◆ 所在地 那覇市

 ◆ 資本金 1千万円

 ◆ 創 業 1988年

 ◆ 従業員 3人


【相談】

 思い切ってサーターアンダギーにチョコクリームを入れたい。伝統的な作り方の人気商品はあるがコロナ禍の後変化を求められていると思う。ネーミングもデザインも売り上げに直結するのでアドバイスが欲しい。


【回答】

 同社は沖縄土産品の菓子製造を行っており、現会長が知人から依頼で事業を買い取ったものの、販路はなかった。しかし今では那覇空港から県内観光拠点をほぼ網羅している。商品数は24点を超え、その中の「サーターアンダギー」と「ちんすこう」は自社で製造しているが、県外製造の仲卸商品は7割を占めている。

 これは沖縄素材を使った県外製造土産品が県内市場にあることを意味する。市場の現実と自社が目指すべき目標にはまだ乖離(かいり)がある。代表の田中俊浩さんは、琉球の食文化を代表する伝統菓子2商品をまず設備投資し自社製造にした。

 今回の相談は主力商品のサーターアンダギーの売り場が競合商品も含め縮小傾向にあったため、新たな商品開発の考え方についてである。土産品には伝承と伝統を混同しているケースが多い。変えてはいけないのは後世へ引き継ぐ創生技術の伝承で、「伝統」は時代に合わせたニーズを先取りしたものであることをあえて説明した。

 新商品のチョコクリーム入りのサーターアンダギーは新しい沖縄らしさとして観光市場から受け入れられるはずである。ネーミングは工夫が伝わるような説明文調もありと提案したら「沖縄の伝統菓子サーターアンダギーの中へチョコクリームを入れちゃいました」に決定した。デザインは、チョコクリームが見えるように2つに割った写真を入れるよう提案をした。

 このように自社製造商品をブランド化するためには「ちんすこう」や「サーターアンダギー」の一般名称を付けるのではなく、登録商標になるためのネーミングの考え方が必要である。特許庁に登録された商標を事前に検索できるJ‐PlatPatの活用も提案した。観光商品のブランド化を進めるためにも引き続き応援していきたい。

問い合わせは有現会社りゅうほう、電話098(857)7238

(県よろず支援拠点コーディネーター・嘉数純)


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支援事例「経営改善計画作成するには」

利益事業と根拠盛り込む


 ◆ 企業名 A社

 ◆ 業 種 飲食業・製造業・その他事業

 ◆ 所在地 沖縄県

 ◆ 資本金 非公表

 ◆ 創 業 非公表

 ◆ 従業員 6名


【相談】

 新規事業として、3年前に飲食店をオープン。開業やコロナ禍で受けた融資の返済開始が迫っているが、売り上げが回復していないため条件変更を行いたい。経営改善計画の作成は初めてのため、アドバイスがほしい。


【回答】

 A社は複数の事業部門を持つ事業者で3年前に新規事業として飲食店をオープンした。店舗は特色ある内装や料理のおいしさで人気となったが、コロナ禍の影響を大きく受け、売り上げが伸び悩んだ。同社はコロナ対策である県の「伴走支援型借換等対応資金」を活用し、開業時の借り入れと合わせて3金融機関から合計約4千万円の資金調達を行い、コロナ禍を乗り切ってきた。

 相談者のBさんは統括マネージャーとして、事業運営を担っている。借り入れの返済について、これまでに1件は条件変更(返済開始の繰り延べ)をしたが、他の2件とともに再び返済開始日が近づく。資金繰りを安定させるには今しばらく時間がかかる。金融機関に再度の条件変更を申し込んだところ、経営改善を盛り込んだ事業計画を3か月以内に提出するよう求められ、相談に来られた。

 まず事業の状況を確認したところ、飲食店売り上げは開業時の目標まであと一歩である。そのような中でも、あるメニューが人気を呼び、これのテークアウト予約が好評で、売り上げと利益を後押ししていた。

 その他の事業では、実はコロナ前に行っていた自社商品の製造販売の事業は相当の利益を上げていたことが分かった。円安やコロナ禍が原料仕入れに影響したためいったん止めていたものの、これを再開したいとの意向が確認できた。このため、経営改善計画はこの二つの事業の売り上げ・利益拡大計画を軸に構成することを提案した。

 顧問税理士のサポートを得ながら収支計画を精緻に5年分作成した。また複数の事業内容とそれらの売り上げ根拠を、より分かりやすく説明する資料を写真入りで計画書に添付した。数回の相談で加筆修正をすすめたBさんの尽力により、期限より1か月早く計画書を提出することができた。

 後日、Bさんより無事に金融機関との交渉が進んだこととともに、新商品開発についても着手したことの報告があり、まずは次へのステップが広がったことに安堵(あんど)した。引き続き新商品開発等、利益の確保につながる支援を継続したい。

(県よろず支援拠点コーディネーター・山城あゆみ)


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支援事例「宮古島ツアー充実させたい」

食コンテンツ強化提案


 ◆ 企業名 アナタビ宮古島~あなただけの旅物語

 ◆ 業 種 旅行業

 ◆ 所在地 宮古島市

 ◆ 資本金 個人事業

 ◆ 創 業 2021年

 ◆ 従業員 1人


【相談】

 宮古島に移住し旅行業を開業した。自分がストレスから癒やされた自然と人の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい。そのためのツアーの内容を充実させたいのでアドバイスがほしい。


【回答】

 外資系の会社で働いていた愛川直樹さんはキャリアを積むにつれて仕事上の悩みも増え、そのストレスを解消するために宮古島を訪れていた。2019年に一念発起し、会社の自己啓発プログラムを活用して1年間の休職を取り、オーストラリアの大学でホテルマネージメントやツーリズムを学んだ後、帰国してすぐに会社を退職した。

 観光業が急成長している宮古島に21年5月に移住し、島の美しさを多くの人に伝えたいという強い思いから旅行業を開業。島の人にツアーホスト「みやこンシェルジュ」を務めてもらい、利用者に特別な体験を提供するオリジナルツアーを企画した。さらにツアーの内容を充実させるため、宮古サテライトへ相談に来訪された。

 入口商品の重要性を説明し「食」をテーマにしたガイドのコンテンツを強化することを提案。また、他のツアーでは「触れ合うこと」「体験すること」から得られるメリットについても意識するようアドバイス。料金体系や対象年齢などの情報を一覧化した。

 お話をうかがっていると、愛川さんの心の中に秘めている思いや計画が散在していたため情報の整理をお勧めした。

 さらにホームページからの予約をしやすくするため動線を考慮し、アクセス解析もルーティン化できた。このような取り組みによりガイドの数とコンテンツが充実し、顧客のニーズに応えられて売り上げも順調に伸びてきた。今後も定期的にガイドコンテンツのPDCAを回し、愛川さんに寄り添い応援していきたい。

 現在の宮古島は観光業の急激な成長に伴う課題に直面している。経済的な成長を追求するのか、それとも生まれ育った自然を守るのか。愛川さんのツアーを通して、訪れる人々に大切なものを感じてもらいたい。問い合わせはアナタビ宮古島~あなただけの旅物語、電話090(7510)1624。

(県よろず支援拠点宮古島サテライトコーディネーター・砂川淳一)


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支援事例「介護報酬改定 どう準備するか」

公開情報得て体制を強化


 ◆ 企業名 非公表

 ◆ 業 種 介護福祉事業(訪問介護)

 ◆ 所在地 那覇市

 ◆ 資本金 非公表

 ◆ 創 業 非公表

 ◆ 従業員 非公表


【相談】

 コロナ禍で資金繰りが厳しく、借り入れも増えている中、2024年4月から介護報酬改定が始まる。詳しい情報が出てこないため、どのような体制で、どう準備すれば良いか、どんな予算計画が必要なのかが分からない。


【回答】

 社会の構造的変化の中で、福祉サービスの質の向上などが求められる中、2024年度は介護・障がい福祉の各事業において大型の報酬改定となった。新年度の大型改定であるにもかかわらず、確定情報どころか問い合わせもシャットダウンされている。年度が変わっているのに様式も公開されないなど、混乱を極めた。

 厚生労働省の報酬改定に関する確定情報が出てこなかったため、県など自治体側も把握できず、人事異動などもあり、非常に難しい対応を迫られたと予想される。事業者にとっても行政にとっても苦難の数カ月の中、即時の解釈と理解、申請や体制の整備を求められた各事業者の努力は並大抵のことではない。

 中小規模事業の相談者はコロナ禍で収入が大きく減少、借入額が膨らみ資金繰りが苦しい状況にある。そこに介護基本報酬の減額のニュースだけが報道され、居ても立ってもいられず相談に来られた。

課題は(1)ネットでの情報収集に慣れておらず情報の取得方法を確立する(2)変化に対応するためには個人に依存するのではなく組織化する(3)資金繰りに余裕を持たせる―の3点である。

 情報収集は厚生労働省の報酬改定のページや報酬改定検討チームが公表している議事録などを案内した。現時点で掲載されている情報を把握し対策の情報源とした。2点目の組織体制は加算を取るために必要な資格を社員が取れるようにする支援制度の導入などの充実化を図った。3点目の資金繰りでは県の「伴走支援型借換等対応資金」を活用し、借り換えと新規資金の借り入れを行い改善した。

 社会が変化する時代の中で制度や事業が変化するのは当然で、企業である以上しっかりとした対策を組む必要がある。一方で政府側も制度改定をする際には、事業者が対策を組む猶予期間やフォーマットの整備、IT事業者などシステムを提供している企業との連携などの対応期間を設けるべきである。変化に対応するため制度改定のフローを改善するべきではないだろうか。

(県よろず支援拠点コーディネーター・鈴木和久)


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沖縄タイムス掲載「経営アドバイス 10 年の実績」

相談 6 万超 中小を支援


 ◆ 企業名 沖縄県よろず支援拠点

 ◆ 業 種 経営相談窓口

 ◆ 所在地 那覇市

 ◆ 開 設 2014年

 ◆ 相談員 30人


 2014年に中小企業庁が全国47都道府県に設置した「よろず支援拠点」は、減少を続ける中小企業、小規模事業者の持続、発展を目指して10年間あらゆる経営相談に対応するため走り続けてきた。その内容はこの紙面で毎週紹介させていただいた。



 よろず支援拠点に与えられたミッションは3点。(1)専門性の高い経営アドバイス(2)課題解決のための総合調整(3)他の支援機関等に対する支援ノウハウの共有―などとなっている。つまり、さまざまな経営課題に悩む事業者の相談に対応し地域の支援機関や金融機関と連携して課題解決を図っていくことを目的としている。

 これまで約3万5千の事業者から6万件以上の相談を受けてきた。相談者の満足度は平均93.3%で全国平均を上回っている。ここ数年は、首里城火災、豚熱や鳥インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など、社会的にも大きな被害により経営に影響を受けた中小企業・小規模事業者に寄り添い課題解決を支援してきた。

 4年前から続くコロナ禍と、それに続いた物価の高騰は、約3万件以上実施されたコロナ関連融資の返済開始と重なり、県内中小企業に深刻な影を落としている。観光客が増加し売り上げが上がったとしても、原材料費や燃料費、人件費の値上がりで利益は減少している。返済原資が確保できていないのだ。昨年は休廃業や解散、倒産も史上最高件数を記録している。今年はさらに増加すると見られている。

 一昨年6月に海邦総研が発表した「県内企業の新型コロナ関連融資の見通し」で「返済に懸念がある」と回答した企業は22.1%に上る。昨年から「返済ができない」など経営危機に直面し事業の存続に不安を持つ事業者が多く相談に訪れている。代位弁済の件数も、全金融機関で前期比149.2%、中には292.2%と急増している銀行もあり、金融機関には懸念のある事業者を相談に促してほしいとお願いしている。

 もちろん、よろず支援拠点だけで事業者の経営危機を救えるわけではない。県信用保証協会、県中小企業活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センターなどの支援機関、地域の金融機関、国や県の中小企業支援施策と連携しながら、中小企業の消滅を1者でも多く防ぎたいと思っている。

(県よろず支援拠点チーフコーディネーター・上地哲)


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資金繰り支援から再生支援へ

沖縄海邦銀行 かいぎんエコマガ 令和 6 年 3 月号掲載「課題解決室 Vol.155」

県内では基幹産業である観光の回復による売上増加が見られる一方、物価高騰や人手不足等による人件費上昇により、企業利益は圧迫されている。コロナ禍でのゼロゼロ融資等の関連債務は増加しており、返済原資が確保できない事業者は多い。昨夏に続き 4 月には返済開始の 2 度目のピークを迎えようとしている。


休廃業・解散が過去最高に

 1 月 25 日の地元紙 2 紙が一面で報じた記事は、予想されていたとは言え、ショックを覚えた。東京商工リサーチ沖縄支店が発表した 2023 年の「休廃業・解散 最多 429 件」の数値である。倒産件数も 40 件で、コロナ関連倒産は 23 件、前期より 6 件増えている。ゼロゼロ融資等の金融支援や借換制度等の国・県の支援が継続している中、経営悪化がまだ表面化していない企業は少なくない。

 よろず支援拠点に寄せられた資金繰り相談も 23 年は約 500 件と過去最多になっている。相談者は全業種に及び、物価の高騰や賃上げ圧力の中、価格転嫁や DX による生産性向上にいまだ辿り着けない中小企業の経営難が見て取れる。コロナ関連融資を受け、コロナ禍を凌いできた事業者は、返済原資が確保できない環境下で債務が増加し、金融機関から新規資金調達が厳しい状況にある。


延命のための止血と輸血

 コロナ禍に直面したとき、国と県もわれわれ支援機関もまず「資金繰りの維持」を軸に、企業の延命を支援してきた。コロナ関連融資の返済開始が始まったものの、経営環境は厳しさを増している。事業者はニューノーマルの経済社会の中で、新規事業も含めた事業再構築等による収益源を確保していかなければならない。そのためにも新規融資等の「輸血」は必要である。だが、その前に「止血」をしなければ出血多量で持ちこたえられない。

 事業者が廃業を選択せざるを得なくなる前に、経営改善と事業再生への選択肢があることを提示して、存続と再生の道があることに気付いてもらいたい。その道を示す役割が国・県はもちろん、金融機関や支援機関にはある。コロナ禍の資金繰り支援のフェーズから再生支援のフェーズへと踏み込んでいかなければならない。


中小企業活性化パッケージ

 2022 年、経済産業省中小企業庁は財務省金融庁とともに、中小企業活性化パッケージを策定、再生支援協議会を再編拡充して中小企業活性化協議会を設立、併せて中小企業の事業再生等に関するガイドラインを策定した。目的は資金繰り支援の継続と中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進である。未曾有の災害と言えるコロナ禍で打撃を受け、今なお経営難にある中小企業の「稼ぐ力」を再建し、増段する債務への対応を支援し、破産を回避して再生を図る狙いがある。これらの一元化した支援体制は一つ二つの支援機関でできるものではない。


地域における連携支援の最大化

 去る 2 月 5 日に「コロナ後の中小事業者再生支援の現場から」と題して沖縄県地域支援機関連携フォーラムを開催した。国・県をはじめ県内支援機関が共催し、弁護士会・税理士会等の後援で、全金融機関をはじめ約 150 人の参加を得て実施。中小企業活性化パッケージ等の制作の企画立案に携わった元中小企業庁金融課の横田直忠弁護士の基調講演と、県中小企業活性化協議会の大島優樹弁護士、宮崎県よろず支援拠点の長友慶徳弁護士、県税理士会の金城達也税理士、県信用保証協会の吉田俊明部長、板橋区立企業活性化センターの中島修センター長らのパネルディスカッションをよろず支援拠点の絹川恭久弁護士の進行で論点を深め整理し、提示した。

 県外からの参加者から、沖縄だからできると言われた、まさに地域ぐるみの支援の最大化を図り、中小企業の相談に対応する体制が構築された。

 再生支援は資金繰りが窮してからでは遅い。経営状況が危ういと感じたらすぐに相談してもらいたい。

詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12688478.html

コロナ禍中小支援議論

県商工会連合会 機関連携へ


 県商工会連合会(米須義明会長)が実施する沖縄県よろず支援拠点は、県内支援機関の連携強化を目的とした「地域支援機関連携フォーラム」を5日、那覇市の沖縄産業支援センターで開いた=写真。

 コロナ禍の事業再生支援をテーマに、中小企業庁事業環境部金融課に弁護士として初めて出向し、政策立案に携わった日本弁護士連合会中小企業法律支援センター幹事の横田直忠弁護士が講演。長期に続いたコロナ禍の影響やエネルギー、原材料コストの上昇などで中小企業、小規模事業者の経営環境が厳しさを増している課題を挙げ、「地域全体での支援を追求することが重要だ」と述べた。

 そのほか、パネル討論もあり、登壇者がコロナ禍の中小事業者支援の現状と課題について議論した。宮崎県よろず支援拠点サブチーフコーディネーターの長友慶友弁護士は「破産以外の選択肢もあることを認識して慎重に方向性を定めることが必要だ」と述べ、 関連機関の役割確認と連携の必要性を強調した。

 パネル討論にはそのほか、県中小企業活性化協議会統括責任者補佐の大島優樹弁護士、板橋区立企業活性化センターの中嶋修センター長、沖縄税理士会の金城達也税理士、県信用保証協会経営支援部の吉田俊明部長が登壇した。(普天間伊織)


詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12678047.html

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沖縄よろずのスタッフから「ご予約確定」に向け、折り返しご連絡をいたします。

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